音楽理論 講座
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33. Omission ( オミッション - 省略 )とPentatonic scale( ペンタトニックスケール - 5音音階 )の世界

いよいよペンタトニックPentatonic scale( ペンタトニックスケール - 5音音階 )です。そう、泣く子も黙るPentatonic scale( ペンタトニックスケール - 5音音階 )。

Pentatonic scale は便利です。そして、Pentatonic scale さえ知っていれば他のシステムをまったく知らなくても、相当の年数にわたって音楽を楽し めてしまいます。さらに、Pentatonic scale さえ知っていれば仕事もできます。ホントです。ちょっとしたギタリストがをアドリブをガンガンこなすのも、作曲の初心者が循環コードの鼻歌でケッコーイイ感じの曲を作るのも、ほとんどはPentatonic scale のおかげです。

それにしても、なんで今までPentatonic scale( ペンタトニックスケール - 5音音階 )の研究に入らなかったのか不思議ではありませんか?そこには私、つまり Mr. Tone の深いふかい思い遣りが存在しているのです。それは、Pentatonic scale だけで世渡りをしていたのでは、何時の日にか行き詰ることは目に見えていますし、何よりも音楽の面白さまでもが半減してしまうからです。

そうPentatonic scaleこそは、 Sound Worldの面白さを理解した上で縦横無尽に活用してもらいたいテーマです。

Chord theory( コードセオリー - コード理論 )を知っている君が、Pentatonic scaleに本気で取り組んだときは、その限り無く興味深い性質を発見するでしょう。

さっそく、その魅力の秘密を探索してみましょう!


Pentatonic scale( ペンタトニックスケール - 5音音階 )の振りをして実はそうじゃないとか、そうじゃない振りをして実はPentatonic scale( ペンタトニックスケール - 5音音階 )とか、簡単そうに聴かせておいて実は複雑とか、またはその反対とか、Pentatonic scale( ペンタトニックスケール - 5音音階 )は Sound Worldに絵画の世界でいうところの「騙し絵」のような効果を持ち込むことができます。

Pentatonic scale( ペンタトニックスケール - 5音音階 )は世界中のあらゆる地域の民族音楽に聴くことが出来ます。そしてその自然発生的な音階は不思議な共通性をもって歌い継がれてきました。たとえば日本の伝統音階のうちの民謡音階と、Bluesのところで解説した Blue note pentatonic scale ( ブルーノート ペンタトニック スケール - ブルーノート5音音階 ) は、次のような同じ音列をもったPentatonic scale です。

また、中国音楽の影響を受けて日本の雅楽の中心的旋法となった「律(りつ)の音階」と、インドネシアのジャワ島のSlendro(スレンドロ)と呼ばれる Scale は、 Score ( スコアー)にすると同じになるほど、極めて近い構造をもっています。ただしSlendro(スレンドロ)は Octave ( オクターブ - 8度 )の5分割によって出来ていますから、楽譜は近似値となります。

研究に入る前に、ちょっと気になることがあるので、そのことに触れておきます。

それは「Pentatonic scale ( ペンタトニック スケール - 5音音階 )」という呼び方です。もちろんPentatonic scale という名称は世界的に使われていますし、音列という意味においては Scale には違いありません。しかし、 Chord theory( コードセオリー - コード理論 ) における Chord ( コード - 和音 )と Scale の関係において明確に規定される Scale と同列にならべることはできません。

このことは、下記のような民族的音列と同様に、 Chord theory( コードセオリー - コード理論 ) で取り扱ってきた Scale からの発展、もしくはその省略形として位置付ける必要があります。


 
Pentatonic scale( ペンタトニックスケール - 5音音階 )を民族音楽として分類したり、その発祥について研究したりすることは近年盛んに行われてきました。そしていろいろな角度から分析され、諸説が氾濫して「ああうるさい!」状態になって、どうも誰が正しいとも言えないようです。

そこで私達は、もっと実践的にPentatonic scale を活用する方法を研究し、利用し易い方向で分析を試みた方が身のためには良いようです。

どの民族がどんな Scale を多く使っていたか否かは、地域的な特色を Sound に持ち込む時にはたしかに便利です。しかし、民族的な色付けのためだけにPentatonic scale を使うとしたら、ちょっと寂しい気がしませんか?

研究すべきは、Pentatonic scale と Chord theory の関係です。どこの地域の人が好んで使っていて、何と何は音階が似ているなんてことは、ちょっとだけ知っていれば良いでしょう。

さて、今までに登場したPentatonic scale ( ペンタトニック スケール - 5音音階 )をまとめてみると・・・。なんと全部同じですね。主音をどれにするかの違いだけで、とりあえずここまでは基本的な構造としてはどれも同じです。構造が同じであることを明確にするために、Keyを変えて比べてみます。

御覧の通り構造は全部同じ、始まる音、つまり Tonic (トニック - 主和音 )が変わるだけです。Pentatonic scale はその名の通り、 Scale の5つすべてを Tonic とすることが出来たのです。そうだとすると、この構造のままで最低あと2つのPentatonic scale ( ペンタトニック スケール - 5音音階 )があるはずですから、探してみて下さい。

全く同じ構造で Tonicも同じPentatonic scale もありました。たとえば日本の民謡音階と私達が大好きな Blue note pentatonic scale ( ブルーノート ペンタトニック スケール - ブルーノート5音音階 ) です。この二つの違いは何でしょう。そうです、 Score ( スコアー)に現れる違いはkeyの違い、言い換えると Scale を支える Chord ( コード - 和音 )の違いです。しかしさらに厳密に Score では表現出来ないところまで踏み込んで、周波数レベルで解説すれば、この二つは明らかに異なったFeelingを持った Scale であることは間違いありません。

注目すべきはb3rd noteの Pitch ( ピッチ - 調音)です。民謡音階のb3rdと Blue note pentatonic scale のb3rdを比較すると、 Blue note pentatonic scale のb3rdの方が高いのです。どれくらい高いかというと、おおよそHalf step のそのまた半分のQuarter tone ( クォタートーン - 四分音 ) だけ高い、つまり厳密にいうとb3rdではないことは Blues feeling ( ブルース フィーリング - ブルース感覚 )のところでも解説した通りです。

実際に私達は、優れたBlues guitaristがBending(チョーキング)等を使って見事に弾き分けるQuarter tone ( クォタートーン - 四分音 ) 、 Blue note ( ブルーノート ) に感動してきました。さらに付け加えると、この Blue note ( ブルーノート ) の位置を厳密に規定することは無意味です。なぜなら、 Blue note ( ブルーノート ) は人によっても、その日の気分によっても変化する音だからです。「ちょっと悲しいけど、でも大丈夫」だったり、「今日は最悪にバッドで、ほとんどb3rd」だったり、「おこっちゃいるけど元気いっぱい、でもちょっと淋しい」だったりと、なかなか微妙な感情を表現してくれるというわけです。

ここでその他のPentatonic scale ( ペンタトニック スケール - 5音音階 )もあたっておきましょう。

都節音階の本来の核音は半音を形成する2つの音の下音であるが、この音階を現代的作品に応用する場合には、上記のような音列とする場合が多い。

琉球音階はごぞんじ沖縄ペンタ、都節音階は私達にはほとんど関係がないいわゆる演歌ペンタです。ところで一見無関係な都節も、使い方によっては Tension sound ( テンションサウンド - 緊張感のあるサウンド )の中に哀愁を持ち込むといった効果もあるので、実験してみると面白いでしょう。そして当然、琉球音階の独特なFeelingを活用することも有効です。

Pentatonic scale ( ペンタトニック スケール - 5音音階 )もDiatonic scaleと同じように、Tetrachord ( テトラコード - 四音音階 )を基礎として構成されています。このことは実際の創作においては特に必要な知識ではありませんが、一般論として押えておきましょう。

ただしPentatonic scale におけるTetrachord は1音が省略され3音で構成される。

このTetrachord ( テトラコード - 四音音階 )は、Pentatonic scale( ペンタトニックスケール - 5音音階 )の研究者が分類する手掛かりの一つです。

Scotish scale ( スコティッシュスケール - スコットランド5音音階 )と都節音階は、純粋にTetrachord ごとの配列にはなりません。こんなところをヒントにしてPentatonic scale の研究の手掛かりとしてもよいでしょう。 もちろん Tonic を変更すれば、Tetrachord をWhole stepで結んだ音列になることは言うまでもありません。

しかし前にも述べた通り、Pentatonic scale の分類的研究はここでのテーマではありません。私達にとって大切なことはPentatonic scale の活用です。Pentatonic scaleの重要性は、その構造から発生する驚くべき効果にあります。

本題に入りましょう。多くのヒット作品が、数あるPentatonic scale( ペンタトニックスケール - 5音音階 )の中の、Scotish scale ( スコティッシュスケール - スコットランド5音音階 )と Blue note pentatonic scale ( ブルーノート ペンタトニック スケール - ブルーノート5音音階 ) に集中している事実には、 Sound Worldとしての確固たる理由があるのです。

この章の最初に触れた通り、 Sound World全体から見た時、Pentatonic scale はあくまでもPrimaly scaleからの Omission ( オミッション - 省略 )であって、したがって何かの Scale から2つのNoteを Omit ( オミット - 省略 )した音列にしか過ぎません。

例えば、Scotish scale はMajor scaleからP 11thとM7thのNoteを Omit ( オミット - 省略 )した音列です。しかしここで終わってはいけません。視野を広げてみましょう。同じScotish scale が、実はLydian dominant scale ( リディアンドミナント スケール ) から# 11thと7thを Omit ( オミット - 省略 )した音列であるとも言えます。

このように、 Omission によって Scale は抽象的になり、ひとつの方向性を強めながら、一方で Tonality ( トーナリティ - 調性 ) としては正体不明の存在となります。 Omited noteが増える度に正体不明の度合いが大きくなり、その度に Sound Worldの自由度が増していきます。しかし振り返ると、 Omit ed noteが増える度に Melody ( メロディー ) Writingの自由度が減少するわけですから、 Melody ( メロディー )の自由度と引き換えに Harmony ( ハーモニー )とCharacter(キャラクター - 個性)を手に入れるという言い方もできます。

次に、C Major scale tone7th chordと G Real minor scale tone7th chordのすべての Chord と、CのScotish scale との関係を検証して、 Avoid note ( アボイドノート - 回避音 )と Tension の位置を確認してください。

確認結果から分かることは、Pentatonic scale と Chord の関係から浮びあがる、 Sound magic( サウンド マジック ) の 可能性です。

また、Tri Tone ( トライトーン - 音3全音) が Omit ( オミット - 省略 )されていることによって、より現代的なFeelingになることにも注目しましょう。

現代的な Sound の中でScotish scale ( スコティッシュスケール - スコットランド5音音階 )が最も多用される理由は、民族音楽的なPentatonic scale( ペンタトニックスケール - 5音音階 )によるものではありません。そこには、Scotish scale を使うことによって Avoid noteが減少し、 Chordと Scale の関係において自由度が増大するという、極めて音楽的な理由が存在したのです。

したがって、Scotish scale と Blue note pentatonic scale 以外のPentatonic scale についても、 Avoid note と Tension の位置を確認しておく必要がありそうです。そしてその結果は、2つのPentatonic scale と比較して Sound 上の自由度が低いことに気付くでしょう。しかし、 Avoid note (の使い方でも述べたとおり、「不自由な状態が必ずしも否定される存在ではない」ということです。使い難いPentatonic scaleを使うことによって、独特のCharacterを創造して、より芸術性を感じる音楽に昇華できるかもしれません。

Pentatonic scale( ペンタトニックスケール - 5音音階 )の領域から飛び出して Omission ( オミッション - 省略 )を、さらに発展させることも考えられます。前にも述べた通り、有名なPentatonic scale と言えども、 Omission のうちの1つにしかすぎません。Pentatonic scale からさらに Omit することによって、Characterを守りながら、より多くの Chord に対応させることも研究しましょう。

次に Blue note pentatonic scale ( ブルーノート ペンタトニック スケール - ブルーノート5音音階 ) です。Scotish scale ( スコティッシュスケール - スコットランド5音音階 )の有効性が理解できていれば、 Blue note pentatonic scale の理解は簡単です。 Blue note pentatonic scale は、 Blues chord ( ブルースコード )の上に展開されることが多いので、まず初めに、基本的な Blues chord と Blue note pentatonic scale との関係から確認しましょう。

Blues chord の原形は次の Chord だけで作られます。

C7の時の#9th、F7の時の9th、G7の時の#9thとb13、といった具合に、 Blues feeling ( ブルース フィーリング - ブルース感覚 )にとって極めて良好な Tension ( テンション )が揃いました。ここまでは当然といえば当然です。ここで検証すべきは Avoid note ( アボイドノート - 回避音 )のあり方です。確認してください。全ての Avoid note はDiminish approach ( ディミニッシュアプローチ - 減和音装飾隣接 )が可能な位置に存在しています。実は、 Musician の認識の是非にかかわらず、このことが、 Blue note pentatonic scale ( ブルーノート ペンタトニック スケール - ブルーノート5音音階 ) を最もPopularなRock scaleにしているのです。たとえ Avoid note を弾いたとしても、次の瞬間に Blue note pentatonic scaleの別の Toneを弾きさえすれば、自動的にDiminish approach が完成するというわけです。そしてさらに、なるべく Root ( ルート - 根音 ) を避けるようにすれば、たちどころにFeeling goodな Phrase ( フレーズ - 楽句 ) が出来上がります。

次に Blue note pentatonic scale と多くの Chord の関係を詳しく検証しましょう。

Blues feeling が大好きな私達は、Scotish scale よりもさらに自由度が高い、この Blue note pentatonic scale を使って、大いに楽しむ権利があります。

さらに、 Blue note pentatonic scale をAltered ( オルード ) して、 Chord ( コード - 和音 )に対応することも考えましょう。

次の例では、P5thをb5thにAltered ( オルタード ) 、つまり変化させてより Blues feeling を強めながら Chord に対応させたことによって、新たなPentatonic scale になっています。

次に、Diatonic scaleから Omit してできたPentatonic scale を組み合わせて、 Hybrid ( ハイブリッド - 混成 )な Scale を作ってみましょう。

この Hybrid ( ハイブリッド - 混成 ) scaleは、Scotish scale ( スコティッシュスケール - スコットランド5音音階 )と Blue note pentatonic scale ( ブルーノート ペンタトニック スケール - ブルーノート5音音階 ) を組み合わせて、さらに Blue note ( ブルーノート )としてのb5thを加えた Scale です。どこかで聴いたことがある Scale ですね。そうです、これは Blue note scale ( ブルーノートスケール ) のType3と同じです。そしてこの Hybrid ( ハイブリッド - 混成 ) scaleは、Chromatic scale ( クロマチックスケール - 半音階 )からbII、bVI、VIIの3つの Toneを Omit ( オミット - 省略 )しただけの Scale でもあります。

Omission ( オミッション - 省略 )によって、 Scale のCharacterを守りながら、全ての Chord ( コード - 和音 )に対応させて自由なad-lib ( アドリブ - 即興演奏 )が出来るようになれば、 Sound Worldがとてつもなく楽しい世界になることは間違いありません。

多くの音楽解説書の中で、Pentatonic scale は最も原始的で民族的な Scale として誤解されています。しかし、私達、つまり君と私 Mr. Tone はPentatonic scale とContemporary Music ( コンテンポラリーミュージック - 現代的音楽 ) のかかわりを突き詰めることによって、Pentatonic scale( ペンタトニックスケール - 5音音階 )の合理性を発見しました。特に、 Hybrid な Blue note scale には、研究を進めると切りが無いほどの奥行きがあります。 Hybrid ( ハイブリッド - 混成 )な Blue note scale による Phrasing の差が、創作力の違いに大きく反映します。



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