音楽理論 講座
作曲・編曲のための
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31. Harmonization ( ハーモニゼイション )の飛躍

Sound Worldが、最初から最後まで Tension ( テンション )とRelaxation ( リラクゼイション )の Proportion ( プロポーション )であることは明確です。それではどんな Proportion ( プロポーション )にすれ ば良いのかと問われれば、「それは個人の自由です」と答えるしかありません。自分自身が最も気持ちの良い Proportion ( プロポーション )を選択して表現できれば、それが答えです。この時に、他人の無責任な意見に惑わされたりしてはいけません。決断の基準はあくまでも自分自身の中にあるのです。しかしもちろん、自分自身の決断において自分以外の感性のために Proportion を創造する事も可能でしょう。どちらにしても、音楽に限らず創造には決断力が不可欠です。そして適切な決断をするためには、決断の裏付けとなる知識が必要なことを、我々はもう充分に理解しました。しかし、ことが創造という高次元の決断のためには、単に知識と呼ばれている程度では駄目で、少なくとも見識ぐらいは欲しいと昔から言われています。見識とは多くの情報や知識の中から、本物を見分ける能力とでも言いましょうか、自分自身の意見をしっかりと持って、情報や知識を選別できるほどの知識を持つことを言います。しかしさらに上が有って、本当は「胆識をもって創作を行うを最上とする」ということになって、大変難しい境地に入ってしまいますので、今のところは堅苦しく考えないで、「そんな境地も世の中には有りそうだ」ぐらいで良いでしょう。胆識とは、多くの知識と経験に基づく確固たる意志といったところですから、あまり若いうちから胆識を持っていたら不思議ですし、第一息苦しくっていけません。これは40、50で身につけば御の字です。40、50はもちろん歳の話ですが、ところが胆識は60になっても身に付かない人が多いようですから、今から心しておく必要がありそうです。

ここでイギリス産のチョットばかり怖いことわざを紹介しておきましょう。

『白髪は知識を表さない、それは単に年齢を表している』

辛辣ですが真実ですね。単なる年寄りにならないためには、大人になってからの継続的な学習が大切というわけです。
さて、Harmonization ( ハーモニゼイション )の飛躍です。ここではすでに知っているHarmonization の手法を、さらに応用してあらたな手法を手に入れます。そのためには次の原則を検証しておきましょう。


1、 Approach chord ( アプローチコード )は、任意の Inversion ( インバージョン )を使用して良い。( Leaping approach - リーピングアプローチ/ 跳躍装飾隣接 )
2、 Approach chord は、Chromatic motion ( クロマチックモーション ) 、 Scale motion( スケール モーション ) 、 Dominant motion ( ドミナントモーション - 4度進行 ) によっ  て拡張することができる。 ( Expanded approach - エキスパンデッドアプローチ - 拡張装飾隣接 )
3、 Approach chord は、 Base chord ( ベースコード ) を一旦飛び越してからResolveすることが出来る。(Delayed resolve - ディレイド リゾルブ )
4、 Approach chord をArpeggio ( アルペジオ - 分散和音 ) することが出来る。(Broken chord approach - ブロークンコードアプローチ/分散和音装飾隣接)
5、一旦作成したHarmonization から任意の Tone を省略することが出来る ( Omission - オミッション / 省略 )

上の5つ法則は、そのどれを採ってもすでに知っていることの応用です。それでいて絶大なる発想の飛躍をもたらしてくれるのですから、ちょっとした発見も馬鹿にできませんね。



1.Leaping approach ( リーピングアプローチ - 跳躍装飾隣接 )
まず、Leaping approach について考えましょう。 Approach chord は次のように任意に Inversion ( インバージョン - 転回 )することが可能です。



すでに気付いているとおり、これは、 Melody ( メロディー ) lineにおける Approach tone ( アプローチ トーン ) の Inversion ( インバージョン - 転回 )を知っていれば、そこから導き出すことができます。 Approach (アプローチ )する Tone ( トーン - 音 ) と、 Approach (アプローチ )される Tone ( トーン - 音 ) の各々の関係に Octave ( オクターブ - 8度 )の部分が出来ただけで、 丁寧に見ていくと Approach 関係が成立していることがわかります。




ところで、ことLeaping approach ( リーピングアプローチ - 跳躍装飾隣接 )の結果から、 Lead note ( リードノート - 主旋律音 )だけを選んで、残りの3つの Tone ( トーン - 音 ) を Omit ( オミット - 省略 )してみましょう。5の Omission ( オミッション - 省略 )の法則によれば、当然許される行為です。しかしながら、今までの研究では許されない動きのような気もしますがどうでしょうか?




たしかに今までは禁止されていました。それはHarmonization ( ハーモニゼイション )の仕組を知らないうちに、むやみに Scale out を奨励すると、大切な Musician の未来を台無しにしてしまう可能性があったからです。しかしHarmonization の手法を手にいれた今は心配する必要は無くなりました。合理的に Scale ( スケール - ) outを取り入れて、さらに印象的な Sound を創造しましょう。
Omission ( オミッション - 省略 )によって任意の2つの Tone ( トーン - 音 ) を選択し、Twin lead等に応用するのも良いでしょう。


Leaping approach ( リーピングアプローチ - 跳躍装飾隣接 )を 2声に応用することも出来ます。




2-1.Expanded approach ( エキスパンデッドアプローチ - 拡張装飾隣接 )
次にExpanded approach です。中でも一番簡単なExpanded chromatic approachを最初に検証しましょう。chromatic approachは次の Score ( スコアー - 楽譜)のように任意に拡張することができます。

 
もちろん下降の場合も同じように拡張できます。


2-2.Expanded altered dominant approach ( エキスパンデッド オルタードドミナントアプローチ )
Expanded altered dominant approachです。このExpandは、 Approach chord ( アプローチコード - 装飾的隣接和音 ) に対してさらに Dominant approach group( ドミナント アプローチ グループ ) を選択できる次のような場合に使えます。


上記の Score を見て、次のことに気付くようであれば、 Mr. Tone としてもここまで一緒に冒険をしてきた甲斐があるというものです。つまり、Expanded altered dominant approachの拡張部分は Chromatic approach ( クロマチックアプローチ - 半音装飾隣接 )になっているという事実です。 Score ( スコアー - 楽譜)で検証しておきましょう。


そうです、 Dominant motion ( ドミナントモーション - 4度進行 ) とChromatic motion ( クロマチックモーション - 半音進行 ) の関係を考えると当然の現象ですね。このことから、すべてのAltered dominant approach ( オルタードドミナント アプローチ)のExpansionは、Chromaticを持って対応することが可能な気がしませんか? Score ( スコアー - 楽譜)で検証してみましょう。

  
さらに考えると、ChromaticはAlmightyですから、これもまた当然でしたね。ここでも、Almightyであるが故に使い過ぎに注意しましょう。えっ、面白いことを発見しましたね!そうです、上記の Score ( スコアー - 楽譜)を読み替えると次のようになります。


2-3.Expanded scale approach( エキスパンデッド スケールアプローチ )
次にExpanded scale approachです。 Scale ( スケール - ) で拡張する?そんなこと、はたして必要なのでしょうか?
いくつかのケースについて検証してみましょう。


確かにどの例にしても、改めてExpanded scale approachのような大袈裟なネーミングはいらないように見えます。なぜなら Base chord の Tension を考えれば、基本的な Scale approach ( スケールアプローチ ) だけを知っていれば充分な感じがするからです。気を付けなければならない部分は、 Approach chord にTri Tone が発生した時の処理ですが、それも、G7をEm7に変更すれば済む話です。
しかし、Expanded scale approachが可能であることを明確に認識していることで助かることもあります。
次のような場合を考えてみましょう。


特に、 Base chord ( ベースコード - 基本和音 ) がEm7の例を検証すると、 Tension ( テンション )による理解だけでは解決しません。 Base chord がAm7の例では、 Tension ( テンション )を使っての解説も出来ますが、今やExpanded scale approachとして理解する方がより早く目的の Sound ( サウンド - 音響 )にたどり着けそうです。改めて言うまでもありませんが、ある目的に対して2つの方法がある場合には、自分にとってその時点で最適な考え方を採用すれば良いでしょう。




3.Delayed resolve ( ディレイド リゾルブ )
Delayed resolve とは次の Score のように、 Approach tone が一旦Center Tone ( センタートーン - 中心音 ) を飛び越してからResolveする Approach (アプローチ )のことで、解決方法はもうすでに我々が知っている方法を組み合わせて用いれば良いのです。 Base chord ( ベースコード - 基本和音 ) C7、Center Tone ( センタートーン - 中心音 ) Gで検証してみましょう。


Harmonization ( ハーモニゼイション )をすると次のようになります。全部もう知っている方法ですね。


反対の方向からも考え方は同じですが、一応確認しておきましょう。




4.Broken chord approach ( ブロークンコードアプローチ - 分散和音装飾隣接 )
Broken chord とは Arpeggio ( アルペジオ ) のことですから日本語では分散和音となり、したがってBroken chord approach ( ブロークンコードアプローチ - 分散和音装飾隣接 )とは Approach chord を分散和音にして行う Approach のことです。
なーんだそんなことか!と、思わず言ってしまうほど簡単なことですね。基本型を Score で確認してから、応用の仕方を考えてみましょう。


これだけでも、なかなか良い効果を出してくれますね。しかしこの方法も、ここまで冒険をしてきた我々、つまり私 Mr. Tone と君のコンビであれば、さらに応用することを思いついて当然です。そうです、このBroken chord は果たして何処まで時間軸を延長できるか?実験の結果得られた答えによってはさらなる自由が手に入るかもしれません。実験してみましょう。


どこまで許せましたか?これは何処までが正解ということではありません。ここまで来たら当然個人の感覚が優先されます。大切なことは、こんなアイデアもあることを知って、自分自身の感覚で自信を持って創作に応用することです。したがってここまでに紹介したすべての Approach (アプローチ )について、Broken chord approachの確認を勧めます。もちろん下からのBroken chord approachだけでなく、上からのBroken chord approachも考えられますし、ランダムにBroken chordをしてみても良いでしょう。




5. Omission ( オミッション - 省略 )
ここまではすべてのHarmonization ( ハーモニゼイション )を4way( フォーウエイ - 4声)のClosed voicing (クローズドボイシング - 密集和声配置)で検証してきました。しかしながらこの方法は、理想的な Approach を得るための道順に過ぎません。どうやら私達は、手に入れた方法を駆使して、さらに印象的な Sound を追求する必要がありそうです。
にしたり、Open Position ( オープンポジション - 開離和声配置)にしたりと多彩なアイデアが考えられ、バリエーションを考えると楽しくて、それこそ切りがありません。
Omission の例をみてみましょう。順を追って Omission をして行きます。はじめに任意の Melody ( メロディー ) lineを選択してHarmonization の手法を使って次のようなHarmonic line ( ハーモニックライン - 和声旋律 )を創ります。


Omission Example.1



すべてを4way( フォーウエイ - 4声)で Harmonize ( ハーモナイズ - 和声構築 )すると重厚になり過ぎると判断したとします。そこで次に任意の2声を選択して、選択した Tone ( トーン - 音 ) 以外を Omit ( オミット - 省略 )します。ここでは Melody ( メロディー )と任意のもう1声を選択することにしましょう。



Omission Example.2



ずいぶんとスッキリして聴き易くなりました。しかし今度は、すべてが2声であることに退屈を感じたとします。そこでさらに Omissionを押し進めて、 Harmony 側の Tone を適度に Omit してみることにします。


Omission Example.3



いかがですか?スッキリとして緊張感もあり、それでいて聴き易く、何回聴いても飽きのこない Phrase の出来上がりです。
このような方法を駆使すれば、それこそ無限の可能性が出現するであろうことは容易に想像できますね。
もちろん私、つまり Mr. Tone がその気になれば膨大な量の楽譜を掲載して、あらゆるケースを紹介することもできます。しかし私、つまり Mr. Tone はあえてこれ以上の紹介はしないことにして、ここから先は君の発見に委ねます。さっきも言ったように、Open Position ( オープンポジション - 開離和声配置)にしたり Octave 上を重ねたり、いろいろな音色、いろいろな楽器で試してみると面白いでしょう。


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